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脳血管性認知症とは?脳梗塞で起こる認知障害について解説

認知機能の低下の画像

脳血管性認知症とは?

脳血管性認知症とは、脳梗塞を含めた脳血管障害や、脳の血のめぐりの悪さからくる認知症を総称したものです[1]。この認知症の特徴は、始まりが急であること、認知症の症状に波があること、良いときと悪いときがはっきりしていることなどです[1]。


例えば、さっき食べたことを忘れてしまうくらい酷いもの忘れがあるのに、理解力が必要な受け答えはしっかりできることがあったり、朝は着替えや会話がしっかりできないのに、お昼を過ぎると着替えや会話ができるようになるなどの症状が見られます。


その他にも、発作があるとその度に階段状に症状が進んでいくこと、増悪因子として脳梗塞の再発や感染症などの合併症、転倒や骨折などの外傷などが挙げられます。これらの特徴があるので、脳血管性認知症は、別名「まだら認知症」とも言われています。


脳血管性認知症が起きやすい年齢は、脳梗塞や脳出血と同じく60〜70歳代で、特に男性に多いです[1]。危険因子として、脳梗塞や脳出血の原因にもなっている高血圧や糖尿病、高脂血症、虚血性心疾患などがあります。


脳血管性認知症の症状は、最初はやる気がなかったり(意欲の低下)、自分から積極的に動こうとしなかったりする(自発性の低下)症状が見られます。それに関連して物事をうまく行うこと(遂行機能)が難しくなることや、一日中家の中に閉じこもりほとんど動かずに生活していることがあり、夜眠れず落ち着かなかったり、気分や気持ちの波が激しかったりする場面が見られます。患者本人も家族も「年のせい」と思ってしまいやすく気づきにくいです[1]。


脳血管性認知症は、脳梗塞や脳出血といった脳血管障害が原因であるので、手や足の運動麻痺のほか、喋りにくさ(構音障害)や飲み込みにくさ(嚥下障害)などを伴うことも多いです。歩きにくさ(歩行障害)もあるため、ちょっとした段差でもつまずいて転びやすくなります。



脳血管性認知症と認知症の違いは?

脳血管性認知症といわゆる認知症の違いは何でしょうか?


認知症の代表的なものに、アルツハイマー型認知症があります。アルツハイマー型認知症は、脳の表面や、記憶にとって重要な場所である海馬の神経細胞に、大量の老人斑(βアミロイド淡白)が沈着し、脳の神経細胞が死んでしまったり、うまく働かなくなってしまうことによって引き起こされる病気です[2]。アルツハイマー型認知症は男性よりも女性にやや多く、加齢とともに起こる確率が高くなります[2]。


症状は遠い昔の記憶(エピソード記憶)の障害や日時を把握すること(見当識)の障害が必ずあり、その他に物事を考えたり判断すること、周囲のことや重要なことに注意を払うこと、物事を行うことなども障害されることがあります。これらの症状によって、妄想や徘徊、取り繕いなどの症状が現れます。症状は長い年月をかけてゆっくり進み、未治療の場合は5〜10年で寝たきりの状態になります。


一方、脳血管性認知症は、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害が原因で引き起こされる病気です[2]。脳血管性認知症は60〜70歳代の男性に多く、その症状は急激に起こり、階段状に進みます。症状は、脳血管障害が起こった部位により現れ方は様々ですが、意欲や自発性が乏しいこと、物事の考えや動きが遅いこと、物事をうまく行えなくなること、手足の運動麻痺、喋りにくさや飲み込みにくさなどが見られます。また症状が1日の中で、あるいは日によって変わりやすいことも特徴です[2]。



脳血管性認知症は治る?リハビリについて解説

脳血管性認知症は現在、根本的に治りにくい病気と言われています。脳血管性認知症に対する治療には,大きく分けて薬物療法と非薬物療法があります。


薬物療法には塩酸ドネペジル(国内外で古くから使用されています)、リバスチグミン(認知症の薬の中で唯一、貼るタイプの薬です)、ガランタミン(口の中の唾液ですぐに溶け、水なしで飲むことができます)、メマンチン(塩酸ドネペジルと併用すると相乗効果が期待されています)などがあります[3]。認知症の方の脳内では、アセチルコリンという神経伝達物質が減少しやすく、グルタミン酸という神経伝達物質が過剰に分泌されている状態であると言われています[3]。塩酸ドネペジルやリバスチグミンおよびガランタミンは、脳内のアセチルコリンの濃度を高め、またメマンチンはグルタミン酸の濃度を抑えて、記憶や学習の障害といった症状への効果が報告されています[3]。


非薬物療法には、認知機能(重要なことを覚えていること、日時や場所をわかっていることなど)に焦点をあてたアプローチ(リアリティオリエンテーション(現実見当識訓練)、認知刺激療法(言語や数字などを使ったゲームや簡単な計算で脳に刺激を与える訓練))、刺激に焦点をあてたアプローチ(活動療法、レクリエーション療法、芸術療法、アロマセラピー、ペットセラピー、マッサージなど)、行動に焦点をあてたアプローチ、感情に焦点をあてたアプローチ(支持的精神療法、回想法、バリデーション療法、感覚統合療法、刺激直面療法など)があります[4]。リハビリは非薬物療法に含まれます。認知機能そのものを向上するためにリハビリが有効かどうかはまだ示されていませんが、廃用を防ぎ、残された機能・能力を高めることによって、二次的に認知機能を高めることが期待されます[4]。


脳血管性認知症では初期の症状である意欲や自発性の低さに加えて、運動麻痺や構音障害、嚥下障害なども起きる場合があるので、患者に根気よく関わりながら、全身の病状の管理とリハビリが必要です。特に運動麻痺については、手足の麻痺が軽くても不自由があれば手足を使わないので、廃用により手足の機能が低くなることを防がなければなりません。脳血管性認知症の危険因子に高血圧や糖尿病、高脂血症、虚血性心疾患などといった生活習慣病があるので、生活指導によって生活習慣病の予防に努め、脳梗塞や脳出血などの再発作を防ぐことも大切です[1,4]。



まとめ

脳血管性認知症は、急激に症状が現れ、階段状に進むため、認知症の方の行動や言動を注意して観察し、「あれ?おかしいぞ」と思い、すぐに近くの病院や診療所を受診することが大切です。脳血管性認知症に対するリハビリについては、まだ有効である方法が明らかになっていませんが、認知症の方に対して生活指導を行うことによって、生活習慣病の予防に努められ、脳血管性認知症の悪化を防ぐことが期待できるかもしれません。



1. 守口恭子:高齢期における認知症のある人への作業療法、三輪書店、2013

2. 宮口英樹:認知症をもつ人への作業療法アプローチ-視点・プロセス・理論-、MEDICAL VIEW、2013

3. 山崎貴史:血管性認知症の発症・進行予防、治療反応性、老年精神医学雑誌28:708-714、2017

4. 日本精神神経学会:認知症疾患治療ガイドライン2010、医学書院、2010


藤本修平
執筆者

藤本修平

“脳卒中”の認定理学療法士かつ“健康情報学”の専門家。情報を上手に使いながら利用者様の日常の行動を変えることを得意とし、臨床現場での活動のみならず数々の研究活動・講演活動の経歴を持つ。

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