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これってパーキンソン病?気を付けるべき症状

みなさんパーキンソン病をご存知でしょうか?
日本では難病指定(指定難病6)されている病気で令和元年で患者数が135,152人にのぼるとされています。
高齢者人口が増加する中、今後20年程度は患者数が増加されるとされています。
日本でも身近になってきているパーキンソン病ですが、まだまだわからないことが多い病気でもあります。
今回は、パーキンソン病によくみられる症状について紹介します。

パーキンソン病の症状とは

パーキンソン病の症状は主に、運動症状と非運動症状にわけられます。


以下では、パーキンソン病診療ガイドライン2018(https://www.neurology-jp.org/guidelinem/parkinson_2018.html)を参考に、それぞれにどのような症状があるのか紹介していきます。



パーキンソン病の運動症状

無動


運動の開始の遅れ(開始遅延)、運動自体が少なくなり(運動減少)、動作が遅くなる(運動緩慢)ことを言います。日常生活では、字を書くのが拙劣になったり、文字が小さくなったりすることがあります。また、歩くときに歩幅が小さくなったり腕の振りが小さくなったりすることがあります。


 


振戦


座っているとき、立ち止まっているときなどに手足が震えることがあります。また、ときおり動作時にも震えがおきることもあります。震えるのは手足の先が著明と言われています[1]。精神的に緊張する場面(みんなの前で話しをするなど)では、震えが強くなることもあります。震えは目立ちやすいので、心理的負担も大きくなりやすいです。


 


筋強剛


手足や首を動かされたときに感じる抵抗感が強くなる状態です。首、肩、腰などの体の中心に近い場所や手首、足首など体の中心から遠い場所でも起こるとされています[1]。硬さは、反対の手足を動かしている時に強くなる特徴もあります[2]。患者さんは、よく『体が硬くなった』と表現されます。


 


姿勢保持障害


安定して座っている、立っていることが難しくなる状態です。初期にはあまりみられず、病気が進行するにつれて出現します。バランスを崩した際に、姿勢を立て直すことが難しくなることもあります。姿勢保持障害は歩行のすくみ足とともに、転倒の最も一般的な原因であり、股関節骨折のリスクとなります[3]。


 


異常姿勢


立っているときあるいは歩いているときに、体が前屈(腰曲がり)あるいは側方に傾いてしまう(ピサ症候群)ことがあります。病気の進行とともに悪化してくることがあります。歩くときに姿勢が悪化し、仰向けで寝たる、壁に寄りかかると姿勢が良くなるという特徴があります[4]。つまり、背骨が完全に変形しているわけではないということです。


 


すくみ現象


話しをしている時や、歩いているときにリズムがとれずに急に早く、あるいは動きが途中で止まってしまう現象を言います。パーキンソン病患者の47%がすくみ現象があると報告されています[5]。歩いているときに見られる場合は、加速歩行やすくみ足と表現されます。すくみ足には、歩き始めのすくみ、方向転換時のすくみ、狭い道でのすくみ、目的地に着いた際のすくみ、状況に関係ないすくみの5つのパターンが報告されている[6]。



パーキンソン病の非運動症状

パーキンソン病は脳の広範囲に変性が起きてしまうため、運動症状だけでなく、多種多様な症状を呈することがわかっています。


睡眠障害


日中に眠ってしまう(日中過眠)、食事や会話、運転中などに突然眠り込んでしまう(突発的睡眠)、夜寝付けずに途中で起きてしまう(夜間不眠)、寝ながら急に動き出す(レム睡眠行動障害)、入眠時に足がむずむずして動かしたくなる(むずむず脚症候群)がある。特に、レム睡眠行動障害は激しく動き回ることもあり、同居者への影響も懸念されている[7]。


 


精神・認知・行動障害


うつ状態、感情や意欲の低下(アパシー)、快感や物事への興味の低下(アンヘドニア)、『誰かがいる気がする』や『ほこりが虫に見える』などの幻覚や妄想、買い漁りやむちゃ食い(衝動性制御障害)、同じ行動を繰り返してしまう(常同反復動作)[8]、物事を筋道立てて行えない(遂行機能障害)、注意力の低下、記憶力の低下がある。


 


自律神経障害


姿勢を変えた際に急激に血圧が低下する(起立性低血圧)、頻尿、便秘、性機能障害、汗が多量に出たり逆に出なかったり(発汗障害)、唾液が垂れてくる(流涎)がある。


 


嗅覚障害


パーキンソン病患者の約7〜8割にみられるという報告もあり、診断前から出現することが多い。


 


疲労


何か活動するのに、いつもよりも大幅な労力や努力が必要と感じることとされており、認知的疲労と身体的疲労があります[9]。パーキンソン病患者の約4〜6割にみられるという報告もあります。趣味を続ける、社会活動を継続することを阻害します。



まとめ

いかがでしょうか?


パーキンソン病といっても多種多様な症状があることをわかっていただけたと思います。もちろん、上記の症状があるから全体にパーキンソン病というわけではありません。気になる方は、専門の医療機関で検査を受け、適切な治療を行うことが重要です。


また、リハビリも進行を遅らせるのにとても重要な選択肢です。リハビリの専門家にも相談してみると良いと思います。



出典

・https://www.nanbyou.or.jp/entry/314



  1. Jankovic J. Parkinson’s disease: clinical features and diagnosis. J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2008;79: 368–376.

  2. Broussolle E, Krack P, Thobois S, Xie-Brustolin J, Pollak P, Goetz CG. Contribution of Jules Froment to the study of parkinsonian rigidity. Mov Disord. 2007;22: 909–914.

  3. Williams DR, Watt HC, Lees AJ. Predictors of falls and fractures in bradykinetic rigid syndromes: a retrospective study. J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2006;77: 468–473.

  4. Azher SN, Jankovic J. Camptocormia: pathogenesis, classification, and response to therapy. Neurology. 2005;65: 355–359.

  5. Macht M, Kaussner Y, Möller JC, Stiasny-Kolster K, Eggert KM, Krüger H-P, et al. Predictors of freezing in Parkinson’s disease: a survey of 6,620 patients. Mov Disord. 2007;22: 953–956.

  6. Schaafsma JD, Balash Y, Gurevich T, Bartels AL, Hausdorff JM, Giladi N. Characterization of freezing of gait subtypes and the response of each to levodopa in Parkinson’s disease. Eur J Neurol. 2003;10: 391–398.

  7. Borek LL, Kohn R, Friedman JH. Phenomenology of dreams in Parkinson’s disease. Mov Disord. 2007;22: 198–202.

  8. Miyasaki JM, Al Hassan K, Lang AE, Voon V. Punding prevalence in Parkinson’s disease. Mov Disord. 2007;22: 1179–1181.

  9. Kluger BM, Herlofson K, Chou KL, Lou J-S, Goetz CG, Lang AE, et al. Parkinson’s disease-related fatigue: A case definition and recommendations for clinical research. Mov Disord. 2016;31: 625–631.


荒井 一樹
執筆者

荒井 一樹

理学療法士
回復期リハビリテーション病院、地域包括ケア病棟で主に脳血管疾患、整形外科疾患、内部疾患の患者様に対するリハビリテーション医療に従事してきました。科学的根拠に基づいたリハビリに加え、在宅生活を見据えた支援を行います。

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