脳梗塞、脳出血、脊髄損傷、腰痛、五十肩などの後遺症改善を目的としたリハビリサービス

お問合わせ

上肢・手の麻痺に対するロボットを用いたリハビリとは?

近年、様々な技術力の進歩とともに、リハビリテーションの分野においてもロボットなどの先端的機器を用いたリハビリ方法が増えています。
本記事では脳卒中を発症され悩まれている当事者様やご家族様に向けて、上肢・手に対するロボットを用いたリハビリの効果や方法について紹介します。今回の記事を読んでいただいた方にとって新たなリハビリ選択肢の参考になるのではないでしょうか。

上肢・手の麻痺に対するリハビリロボットとは?

脳卒中後に上肢機能の障害が残存する割合は55~ 75%[1]であり、下肢機能に比べて回復が乏しく,その後の回復も乏しいことが多いとされています。

近年、脳卒中後の上肢機能障害に対するロボットを用いたリハビリ方法(ロボットリハビリ)が増えています。

リハビリでは運動機能を改善するために正しい運動を繰り返し、反復練習することが必要です。従来のリハビリでは、正確に正しい運動を繰り返すことは簡単ではなく、少なからずセラピストのスキルの差が生じていました。そこでロボットの出番です。ロボットリハビリではロボットがアシストをしながら麻痺側の上肢や手の反復練習を行います。ロボットのアシストは正確性や再現性に優れており、正しい運動を反復練習することを可能にします。また、セラピストがいない状況でも効果的な練習が可能なため、結果として運動量の増加やそれにより機能改善が期待できます。

ロボットリハビリは日本脳卒中学会が発行している脳卒中治療ガイドライン2021においても実施することが推奨されています(推奨度B、エビデンスレベル高)[2]。



ロボットリハビリの効果

ロボットリハビリは以下のような効果が期待されます。


運動機能の改善

ロボットリハビリは練習量が同等の従来型のリハビリと比べて、重症度が中等度~重度、回復期後期~慢性期を対象とした場合、運動機能の改善効果が高いと報告されています[3]。


痙縮の改善

AIを搭載した手指運動アシストロボットにより手関節の痙縮が軽減したと報告されています[4]。しかし、痙縮の改善効果を示している報告は多くありません。今後の研究が期待されます。


運動量・練習量の増大

ロボットリハビリは中等度から重度の上肢麻痺者において、セラピストの支援がなくても自主練習によって練習量を確保することができます。運動機能の改善には練習量を多くすることが推奨されていますが、運動麻痺が重度な場合、自主トレーニングの実施が難しいため、ロボットの活用を検討することが望まれます。


リアルタイムフィードバックによる運動学習の促進とモチベーションの向上

ロボットリハビリ機器の多くが、麻痺側上肢の運動がどのように行われているかをご自身で確認しながら練習できるシステムを備えています。(リアルタイムフィードバック)。

運動の状況を見える化することで動きのコツを覚えやすくなり、リハビリに対するモチベーションの向上が図れます。



本邦におけるロボットリハビリ機器

手指リハビリロボット

MELTz(株式会社メルティンMMI)

AIが筋肉の電気信号を分析することで患者さんが行おうとしている手の動きを認識し、ロボットのアシストによってスムーズな手指運動をサポートします。



画像引用元:製品HP MELTzはAViC日本橋店でご利用いただきます。


 


前腕リハビリロボット

Physibo SPTD(オージー技研株式会社)

電気・振動刺激を併用しながら前腕の自動運動をサポートする装置です。



画像引用元:製品HP


 


肩・肘のリハビリロボット

ReoGo®-J (現在販売終了)

ロボットアームのサポート量を調整することで患者さんの上肢機能に応じた難易度でリーチ動作の反復練習ができます。



画像引用元:製品HP



まとめ

ロボットリハビリは上肢・手の麻痺の改善に対する効果的なリハビリ方法のひとつです。

先端的な機器のため、現在は実施できる施設が限られてしまいますが、実施できる環境があれば一度、試してみてもよいかもしれません。


ロボットリハビリの歩行編についてはこちらの記事でまとめていますので是非参考にしてみてください。



出典

[1]Lai SM ,et al.: Persisting consequences of stroke measured by the Stroke Impact Scale. Stroke 33(7): 1840-1844, 2002.

[2]角田 亘:日常生活動作(ADL)障害.脳卒中ガイドライン 2021(日本脳卒中学会脳卒中ガイドライン委員会 編).協和企画,東京,2021;pp 260-261


[3] Wu J,et al.:RobotAssisted Therapy for Upper Extremity Motor Impairment After Stroke:A Systematic Review and Meta-Analysis. Phys Ther 2021;101:pzab010

[4]Yuhei Murakami , et al. :New Artificial Intelligence-Integrated Electromyography-Driven Robot Hand for Upper Extremity Rehabilitation of Patients With Stroke: A Randomized, Controlled Trial.Neurorehabil Neural Repair. 2023 May;37(5):298-306.


守屋耕平
執筆者

守屋耕平

理学療法士、認定理学療法士(脳卒中)、認知神経リハビリテーション士
回復期リハビリ病院で10年以上、脳卒中・脊髄損傷・骨折患者を中心にリハビリテーション医療に従事。認知神経リハビリの専門家。研究活動を行いながら、科学的根拠に基づくリハビリに加え、対象者自身が感じている身体の状態や感覚などの主観的側面を活かしたリハビリを実践。認知神経リハビリの研修会講師としても活躍。

脳梗塞のリハビリTips

ページのトップへ