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腰痛で安静は間違っている?腰痛の新常識

腰痛は病気ではなく症状であり、さまざまな要因から生じる可能性があると言われています。腰痛を訴える人のほとんどははっきりとした原因を特定することができないと言われています。腰痛に関する情報は世の中にあふれていますが、その中には実際の科学的根拠に基づいていないものも多く含まれています。
この記事では、特に多くの方が抱きがちな誤解を取り上げ、その正しい理解を手助けします。

①画像診断で腰痛の原因がわかる?

腰痛があると、X線やCTスキャン、MRIなどの画像診断を受けることがあります。しかし、これらの画像検査で見つかった「異常」が必ずしも腰痛の原因であるとは限りません。


 


科学的根拠



  • 健康な人(痛みのない人)でも、加齢変化により椎間板の変性やヘルニアのような所見が見られることが多いのです。一方で、重度の腰痛を訴える人の画像に異常が見られないこともあります。(少なくとも50歳未満の人ではMRIの異常のいくつかは、腰痛のない人よりもある人に多く見られる。)

    • 例: 年齢を重ねると誰でも椎間板が劣化しますが、それがすべて痛みにつながるわけではありません。



  • 画像所見が腰痛の将来の発症や経過を予測するのに有用であるかどうかは現在のところ明確になっていない。


正しい理解


腰痛の治療には、画像診断だけでなくその人個人の身体的・精神的症状や生活状況を総合的に評価することが重要です。



②腰痛には安静が最適?

昔から「腰が痛い時は安静が一番」と言われることがありますが、これも誤解です。


 


科学的根拠



  • 急性腰痛に対しては常に床上安静というよりも、できる限り活動性を維持する方が、疼痛軽減と身体機能回復の観点で有用であるとされています。

  • 坐骨神経痛を伴う腰痛では、安静と活動性の維持には改善に対して明らかな差はないとされています。

  • 長期間の安静は筋力の低下や関節の硬直を招き、かえって回復を遅らせる可能性があります。


正しい理解


痛みが強い初期には無理をせず安静を取るのは適切ですが、痛みが軽減したら徐々に日常生活や軽い運動を再開することが回復を促します

医師や理学療法士に相談して、自分に合った運動を見つけましょう



③筋肉や関節の問題だけが腰痛の原因?

腰痛は必ずしも体の構造的な問題に起因するものではありません。心理的な要因やストレス、社会的要因が痛みを引き起こすこともあります。


 



図1:腰痛と障害の要因


 


科学的根拠



  • 最近の研究では、腰痛と心の健康との関連性が注目されています。不安やうつ状態がある人は腰痛が悪化するリスクが高いことが示されています。また、仕事のプレッシャーや家庭内のストレスが痛みを増幅させるケースもあります。

  • ある研究では疼痛恐怖、不安、恐怖回避の信念のレベルが高いほど、疼痛や身体障害と統計的に有意に関連することがわかっています。

  • 偏った生活習慣や健康リテラシーの低さも腰痛と関連があるとされています。


正しい理解


痛みを単に身体の問題だけと捉えるのではなく、心理的・社会的な要因や併存疾患も考慮した治療が重要です。


 



④姿勢が悪いと腰痛になる?

悪い姿勢は腰痛の原因」というイメージがありますが、これも全て正しいとは限りません。


 


科学的根拠



  • 多くの研究は、不良姿勢(例えば、長時間の座位や立位)が腰痛と関連している可能性を示唆していますが、それが直接の原因であるという因果関係は確立されていません

  • 腰椎の健康を保つには、座位時の正しい姿勢(例えば、適切な腰椎前弯を保つこと)が重要とされ、頻繁に動くこと(姿勢を変えること)が推奨されています


正しい理解


自分にとって快適な姿勢を見つけ、長時間同じ姿勢を続けないよう心掛けることが重要です。定期的に体を動かすことで腰への負担を軽減できます。



⑤腰痛になったら薬を飲むのが最適?

痛みどめ(例:オピオイドなど)の効果と副作用のバランスに対して懸念があり、ガイドラインでは第一選択として運動療法や理学療法などが推奨されています。


 


科学的根拠



  • 複数の疼痛部位や手技を嫌う患者に対して有用とされています

  • 急性腰痛の場合:非ステロイド性抗炎症や筋弛緩薬から開始されます

  • 慢性腰痛の場合:鎮痛薬(オピオイド)は慢性腰痛患者の短期的な疼痛緩和はわずかであると示されています。また同薬剤は中毒性や副作用も見られることから、他の治療に反応が乏しい方の選択肢となります。


正しい理解


「痛みが出たからすぐに薬を飲む」ではなく、その痛みへの対策を医療従事者や理学療法士などに相談してみてください。何気ない行動や習慣、運動方法を見つめ直すことで腰痛が軽減するかもしれません。



まとめ

腰痛に関する古い常識や誤解をそのまま信じると、適切な治療や対策を見逃す可能性があります。画像診断だけに頼らず、過度な安静を避け、身体と心の両面から腰痛を理解することが重要です。


専門家のサポートを受けながら、自分に合った方法で腰痛と向き合いましょう!



出典

1)Uei, Hiroshi. 2022. “Summary and Key Points of Clinical Guidelines for Low Back Pain 2019.” Nichidai Igaku Zasshi 81 (3): 123–26.


2)Hartvigsen, Jan, Mark J. Hancock, Alice Kongsted, Quinette Louw, Manuela L. Ferreira, Stéphane Genevay, Damian Hoy, et al. 2018. “What Low Back Pain Is and Why We Need to Pay Attention.” Lancet 391 (10137): 2356–67.


3)Swain, Christopher T. V., Fumin Pan, Patrick J. Owen, Hendrik Schmidt, and Daniel L. Belavy. 2020. “No Consensus on Causality of Spine Postures or Physical Exposure and Low Back Pain: A Systematic Review of Systematic Reviews.” Journal of Biomechanics 102 (109312): 109312.


リハビリ施設AViC
執筆者

リハビリ施設AViC

株式会社豊通オールライフが運営する自費リハビリ施設AViCです。尾山台(東京・世田谷区)・日本橋(東京・中央区)と名古屋栄(愛知県・名古屋市中区)の3店舗を運営をしております。 脳卒中や、パーキンソン病などの神経難病、介護予防、痛みなど幅広いお悩みに対して、リハビリの専門家である理学療法士や作業療法士が専門家の立場から、最新情報をもとに科学的根拠に基づいたリハビリを通しご利用者様の人生を豊かに出来るよう営業を行っています。

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