[名古屋 自費リハ]歩こうとすると足が止まる…パーキンソン病の「すくみ足」完全ガイド
パーキンソン病の約2人に1人が悩む「すくみ足」とは?
パーキンソン病のすくみ足(Freezing of Gait:FOG)とは、歩き出そうとした瞬間や歩行中に突然振り出そうとした足が前に出なくなる現象です。
まさに、足がすくんで動かなくなってしまう状況をさしており、今記事を読まれている方の中にも同じ様な症状にお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実際、日本神経学会のパーキンソン病診療ガイドライン2018によると、パーキンソン病患者の約47%にすくみ足が認められると報告されています。
特に、歩き始めるときやターンするときなどに生じやすく、突然立ちすくんでしまうため転倒のリスクも高くなる非常に厄介な症状の一つであると言えます。
どんな時に出る?すくみ足のパターンを解説
パーキンソン病のすくみ足には、以下のようなパターンがあると報告されています。2)
ここではすくみ足が出やすいパターンを解説してみます。ご自身がどんな場面ですくみ足が出現しやすいのかを把握することも、転倒の対策においては非常に重要です。ぜひご自身の生活を振り返りながらご覧いただけたらと思います。
- 歩き始めのすくみ足
椅子から立ち上がりいざ歩き出そうとした時に、「1歩目がでない、、」そんな経験はないでしょうか。
歩き始めはすくみ足が出やすい代表的な場面です。
- 狭い場所でのすくみ足
キッチンや家具の間などスペースが限られるとこでもすくみ足は出やすいと言われています。特にトイレや浴室などの場面はすくみ足が出現する方が多い環境です。
- ターンするときのすくみ足
方向転換を行う場面で足が出にくくなってしまい、立ち止まってしまうなどの経験はないでしょうか。
特に、歩いているところから椅子に座る直前の方向転換がうまくいかず、座り損ねてしまうアクシデントをよく耳にします。
- 二重課題(ものを運ぶ・考え事をするなど)のときのすくみ足
二重課題とは、単純に歩きというタスクに加えて、「水の入ったコップを持ちながら歩く」や「買うものを思い出しながら歩く」など、〇〇しながら歩く状態を指します。〇〇しながらという行為が、頭にとっての負荷となり、単純に歩くことに支障が出てしまう状態がパーキンソン病の方だとよく起こってきます。
- 視覚入力の低下(暗い場所など)のときのすくみ足
目で見た情報量が急激に減ってしまうため、安全に歩くという環境が損なわれてしまい、単純に歩くだけでも負荷となり、すくみ足を引き起こしてしまう状況になります。
- 情動・ストレスがある場面でのすくみ足
前述してきた場面を振り返ると、歩くという行為に加えて、頭にかかる負担が大きいとすくみ足が出やすいことがわかります。さらに、転ぶなどの経験をしてしまうと、「恐怖心」が頭の中に大きく印象づいてしまい足が出にくくなるというサイクルが生じてしまうことがあります。
いかがでしょうか、皆さんがすくみ足を出現する場面はどの様な場面でしたでしょうか。
すくみ足は、薬が効いていない時間帯(OFF)に出現することが多いとされていますが、ターン時のすくみ足は薬が効いている時間帯(ON)でも、出現しやすいと報告されています2)。
すくみ足は軽減できる?効果的な方法は?
すくみ足は内服薬などの治療だけでは完全には軽減しにくいとされている症状の一つです。一方でそれらの治療と組み合わせながら実施するリハビリの有効性が報告されています。
では、どのようなリハビリがすくみ足に効果的なのでしょうか?近年の研究で分かってきたポイントと当店でも提供しているリハビリをいくつかご紹介します。
- 視覚や聴覚のキューを用いた歩行練習: 床にテープで線を引く、メトロノームの音に合わせて歩くなど、五感を使った合図で歩行のリズムや一歩目を誘導する方法です。こうした視覚的・聴覚的キューの活用は歩行障害の改善に有効であり、パーキンソン病患者のすくみ足の頻度を減少させることが報告されています。どの様な「キュー」がその人に合っているかはリハビリの経過を見ながら判断する必要がございますので、ぜひお近くの専門家にご相談してみてください。
- トレッドミルでの歩行練習: 一定の速度で動くベルト上を歩くトレッドミルは、強制的にリズムある歩行を引き出すため、すくみ足の軽減に効果的です。トレッドミルでの歩行練習によって、パーキンソン病患者の歩行速度や体力が向上し、平地での歩行練習よりも効果が高かったことが報告されています。日本神経学会やヨーロッパのガイドラインでも、パーキンソン病の歩行障害に対する有効なリハビリとしてトレッドミルを使用した歩行練習が推奨されています。
すくみ足の症状でトレッドミルを始める場合、足がついていかず転倒してしまうリスクも伴いますので、実施する際は転倒防止のベルトをつけることや専門家と一緒に実施する様にしてください。
- 行動観察療法: すくみ足を回避する場面を動画で観察してイメージする練習です。これは、観察中に脳の運動領域、前頭頭頂葉、注意制御領域の活動が増加することによる効果と報告されています。開始時のすくみ、ターン時のすくみには効果が期待できますが、環境依存のすくみ(狭い道など)には効果が少ないと言われています。行動観察療法は、数あるリハビリ手法の中でもすくみ足を改善する効果が高いと報告されています。
こうした科学的根拠に基づくリハビリを組み合わせることで、すくみ足は改善する可能性があります。
実際に当施設での取り組み方
AViC名古屋栄店にも、すくみ足や姿勢の問題でお困りのパーキンソン病の利用者様が多くご利用されており、日々リハビリに取り組んでいます。そ
の中で実際に提供している当施設での具体的なリハビリの内容をいくつかご紹介します。
視覚や聴覚のキューを用いた歩行練習:視覚キューでは、モニターを使用しながら普段歩いている歩幅よりも少し広い位置に目標を表示したり、店舗内に1m間隔の線があるため、それを指標に歩くトレーニングを実施します。また、聴覚キューでは、メトロノームを用いてリズミカル(60〜120Hz)な音を出しそれに合わせて歩くトレーニングを実施します。音のリズムはその人に合ったリズムに調整します。
トレッドミルでの歩行練習: まずは安全第一で手すりを把持していただき、転倒防止ベルトを装着して実施して行きます。時間の目安として、最初は20分の実施を目指しながら、30分から40分と歩行時間を伸ばしていくように進めて行きます。また、トレッドミルでの歩行トレーニング中は、ご自身の歩きの姿勢を確認することやリズムを作るためメトロノームを活用してリズム形成をしながらトレーニングを進めて行きます。歩行量と歩行トレーニングの難易度を調整しながら、利用者様の状況に合わせてプログラムをご提案させていただきます。
手すりの使用・スピード・キューの有無など様々な条件を調整し、ご利用者様にあった難易度で提供することを心がけています。
行動観察療法: 当施設でのレーニング例として、方向転換時や狭い道での歩きなどすくみやすい状況でのスムーズな歩き方を動画で撮影し、それを注意深く観察してもらいます。その後に、同じ状況で実際に歩くトレーニングを実施します。自費リハビリならではの取り組みとして、実際に訪問したり、映像を確認しながら、ご自宅の環境を確認しながら、環境調整と合わせて実施することもあります。
こうした個別プログラムを通じて、日常生活で「あ、今日は足が止まらなかった!」という瞬間を増やせるよう、一緒に取り組んでいきます。大切なのは継続的で個人に合わせた練習であり、オーダーメイドのすくみ足へのリハビリをご提供しています。
まとめ
いかがだったでしょうか。
パーキンソン病の患者様のうち、約半数の方がすくみ足の症状を抱えております。
すくみ足は転倒に結びつきやすい症状の一つであり対策が必要です。
主治医の先生の方針に合わせながら、リハビリでも対策をしていくことで、すくみ足でのお悩みが軽減する場合がございます。
お悩みの方は、ぜひお近くの専門家にご相談ください。
出典
[1]日本神経学会パーキンソン病診療ガイドライン2018(パーキンソン病診療ガイドライン作成委員会 編).医学書院,2018;pp87-89
[2] European Physiotherapy Guideline for Parkinson’s Disease. 2014;pp73
[3] European Physiotherapy Guideline for Parkinson’s Disease. 2014;pp73
[4] Rutz DG, Benninger DH. Physical Therapy for Freezing of Gait and Gait Impairments in Parkinson Disease: A Systematic Review. PM R 2020; 12: 1140-1156. DOI: 10.1002/pmrj.12337.
[5] Kwok JYY, Smith R, Chan LML, Lam LCC, Fong DYT, Choi EPH, et al. Managing freezing of gait in Parkinson’s disease: a systematic review and network meta-analysis. J Neurol 2022; 269: 3310-3324. DOI: 10.1007/s00415-022-11031-z.
[6] Goh L, Canning CG, Song J, Clemson L, Allen NE. The effect of rehabilitation interventions on freezing of gait in people with Parkinson’s disease is unclear: a systematic review and meta-analyses. Disabil Rehabil 2023; 45: 3199-3218. DOI: 10.1080/09638288.2022.2120099.